呉市で不動産会社を選ぶなら|おすすめは「名前」でなく「質問」で見極める【相続した実家・斜面地・空き家】
投稿日:2026.10.28
遠くに住んでいて、呉市の実家を相続した。一括査定を申し込んだら、会社によって査定額が数百万円も違った。「結局どこに任せればいいのか」と手が止まっている方は少なくありません。
呉市には、斜面地の家、階段でしか行けない家、前の道が狭い家、島しょ部の家、値段のつきにくい空き家が多くあります。物件によって得意な会社が違います。そのため「おすすめの会社名」を探しても、自分の物件に合うかどうかは判断できません。
この記事では会社名のランキングは出しません。代わりに、次の3つをお渡しします。
- 物件の種類別に、向いている会社の特徴
- 相談するときにそのまま使える質問集
- 費用と失敗例の確認ポイント
売りたい方は費用と流れの節、買いたい方は比較表とFAQ、住み替えを考えている方は全体を順に読むと迷わずに進められます。
呉市で不動産を売る・買うときの費用と相場の考え方

結論から言うと、会社選びの前に「査定額の意味」と「かかるお金の全体像」を知っておくことが一番の近道です。数字の意味が分かれば、会社の説明が正しいかどうかを自分で判断できます。
査定額は「売れる値段」ではない。差が出る理由
査定額は「この値段なら売れそうだ」という会社の見立てです。その値段で売れる約束ではありません。
会社によって査定額がずれる主な理由は3つあります。
- 比べる取引事例の選び方:近くの平地の家を基準にするか、同じ斜面の家を基準にするかで大きく変わります
- 斜面・接道の評価:車が入らない家や、階段が長い家をどこまで減額するかは会社ごとに違います
- 解体を前提にするか:建物を残して売るか、更地にして売るかで値段の考え方が変わります
査定額が高い会社を選ぶと、売り出した後に値下げが続き、結局は時間だけかかる危険があります。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、近くで実際に取引された価格を自分で調べられます。査定書の数字と見比べてみてください。
まずは査定書に「どの取引事例を根拠にしたか」が書かれているかを確認しましょう。
仲介手数料の上限と、安い空き家の特例
仲介手数料(不動産会社に払う成功報酬)は、国土交通省の告示で上限が決まっています。売買の仲介で売主・買主の一方から受け取れる上限は、売買価格(税抜)を3つの区分に分けて計算します。
| 売買価格(税抜)の区分 | 上限の料率(税抜) | 確認すること |
|---|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5% | 税込か税抜かを確認 |
| 200万円を超え400万円以下の部分 | 4% | 区分ごとの計算になっているか確認 |
| 400万円を超える部分 | 3% | 一般に「売買価格×3%+6万円+消費税」という簡易式で計算されます |
さらに、2024年(令和6年)7月1日から、売買価格が800万円以下の物件(告示では「低廉な空家等」と呼ばれます)は、調査や現地確認の費用を考慮して、通常の計算を超えて30万円の1.1倍(税込33万円)までの報酬を受け取れる特例ができました。ただし、この特例は媒介契約を結ぶ前に報酬額の説明を受け、合意した場合に限られます。
大切なのは、上限は「必ず払う金額」ではないという点です。媒介契約(不動産会社に売却を頼む契約)を結ぶ前に、手数料の金額を書面で出してもらいましょう。
売却・購入にかかる諸費用の一覧
売るときには、仲介手数料以外にもお金がかかります。下の表の金額は業界で一般的な目安です。
| 項目 | 目安(目安・条件で変動) | 呉市で高くなりやすい条件 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 告示の上限以内 | 800万円以下の物件で特例を使う場合 |
| 印紙税 | 契約金額で決まる(国税庁の資料で確認。不動産売買契約書は2027年3月31日まで軽減措置あり) | ― |
| 抵当権抹消の登記費用 | 司法書士報酬で1万〜3万円程度+登録免許税 | ― |
| 測量費(境界確定) | 35万〜80万円程度 | 隣地が多い・境界標が無い斜面地 |
| 残置物の撤去費 | 10万〜50万円程度 | 階段だけの家、車が横付けできない家 |
| 解体費(木造) | 1坪あたり3万〜6万円程度 | 重機が入らず手作業が増える家 |
| 相続登記の費用 | 司法書士報酬で5万〜15万円程度+登録免許税 | 相続人が多い・遠方にいる |
斜面地や階段だけの家は、運び出しも工事も人の手が中心になります。撤去費と解体費は、平地の同じ広さの家より高くなりやすいです。
また、相続登記(相続した家の名義を変える手続き)は2024年(令和6年)4月1日から義務になりました。相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく申請しないと10万円以下の過料(行政上の罰金)の対象になる可能性があります。早めに済ませておくと売却がスムーズです。
買う側の諸費用は、一般的に物件価格の数%程度が目安です(条件で変動)。ローンの有無や物件の種類で内訳が変わるため、相談時に見積もりを出してもらいましょう。
物件の種類別に比べる。呉市で向いている不動産会社の特徴

結論は「会社のタイプより、自分の物件と同じ条件を最近扱ったかどうか」で選ぶことです。呉市は物件ごとの条件の差が大きいため、得意分野が合うかどうかで結果が変わります。
地元密着型・大手・空き家専門。3タイプの違い
不動産会社は、大きく3つのタイプに分けられます。どれが良い・悪いではなく、向き不向きの問題です。
- 地元密着型:坂の上り下りや買い物の便など、その地域の事情に詳しい会社です。近くで家を探している買主とのつながりも持っています。一方、市外や県外への広告は弱めのことがあります
- 大手:集客力があり、契約や書類の仕組みが整っています。一方、斜面地や安い物件は後回しにされやすい面があります
- 空き家・訳あり物件の専門:再建築不可(建て替えができない土地)や安い物件も扱えます。一方、買い取りが中心で、売値が相場より低くなることがあります
同じタイプでも、担当者によって力量は大きく違います。会社名だけで決めず、担当者本人と話して判断してください。
物件タイプ別、相談先の向き・不向きの比較表
| 物件タイプ | 向いている会社のタイプ | 確認したい実績 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 駅近・平地の一戸建て | 地元密着型・大手 | 同じ地区での最近の売却 | 査定額の高さだけで選ばない |
| 斜面地・階段だけでしか行けない家 | 地元密着型 | 車が入らない家の売却 | 撤去・解体費を先に見積もる |
| 接道不良・再建築不可 | 空き家専門・地元密着型 | 再建築不可の売却や買い取り | 隣地への売却も選択肢に入れる |
| 島しょ部の物件 | 地元密着型 | 同じ島や近い島での取引 | 現地確認の回数と交通費を確認 |
| 安い空き家・古家付き土地 | 空き家専門・地元密着型 | 低価格帯の売却 | 手数料の特例の有無を書面で確認 |
| マンション | 大手・地元密着型 | 同じマンションや近くの物件 | 管理費・修繕積立金の滞納を確認 |
自分の物件がどの行に当たるかは、次の順で確かめます。
- 家の前まで車が入るかどうか
- 前の道の幅と、建て替えができるかどうか(役所の建築指導の窓口で確認できます)
- 本土か島しょ部か
この3点が分かれば、相談先の候補を2〜3社に絞り込めます。
相談時に使える「見極めの質問集」
会社選びで一番役に立つのは、相談の場での質問です。次の10問を持って行ってください。
- [ ] この査定額の根拠になった取引事例を見せてもらえますか
- 良い例:地図と事例を見せて説明する/注意:「相場です」だけで終わる
- [ ] この家と同じように斜面や接道に条件がある物件を、最近扱いましたか
- 良い例:具体的な地区名で答える/注意:「どんな物件でも大丈夫」と言う
- [ ] 売れなかった場合、値下げの方針と時期はどう考えていますか
- 良い例:期間と価格の目安を示す/注意:「すぐ売れます」と言い切る
- [ ] 仲介手数料と諸費用を書面で出してもらえますか
- 良い例:その場で概算表を出す/注意:契約後に説明すると言う
- [ ] 土砂災害・浸水のリスクを、買主にどう説明しますか
- 良い例:ハザードマップを使って説明する/注意:「気にしなくていい」と言う
- [ ] 遠方に住んでいても、手続きをどこまで進められますか
- 良い例:郵送・オンラインの範囲を示す/注意:毎回の立ち会いを求める
- [ ] 買い取りと仲介、両方の金額を出してもらえますか
- 良い例:両方の差と理由を示す/注意:買い取りだけを勧める
- [ ] 家財が残ったままでも売り出せますか
- 良い例:撤去の段取りまで示す/注意:「全部片付けてから」とだけ言う
- [ ] 販売活動の報告はどんな形で、どのくらいの頻度でもらえますか
- 良い例:問い合わせ数まで報告する/注意:報告の形が決まっていない
- [ ] 担当者は最後まで変わりませんか
- 良い例:担当と連絡方法を明示する/注意:答えがあいまい
2018年(平成30年)7月の豪雨では、呉市内でも土砂災害が起きました。斜面地の家ほど、災害リスクの説明の仕方で会社の誠実さが分かります。
相談の前に、この質問集を印刷するかスマートフォンに保存しておきましょう。
相談から契約・引き渡しまでの流れ

結論は「相続登記と家財整理を先に動かす」ことです。この2つが遅れると、良い買主が見つかっても契約できません。
売却の流れ(相続した実家の場合)
- 相続登記:家の名義を相続人に変えます
- 家財の整理:残す物・処分する物を分けます
- 2〜3社に査定を依頼:比較表の向き不向きを参考に選びます
- 媒介契約:売却を頼む会社と契約します
- 販売活動:広告・内覧対応が始まります
- 売買契約:買主と契約し、手付金を受け取ります
- 引き渡し:残りの代金を受け取り、鍵を渡します
遠方にお住まいの方は、場面ごとに分けて考えると負担が減ります。家の中の確認や家財の仕分けは、現地に行く必要がある場面です。一方、査定の説明、媒介契約、売買契約の書類のやり取りは、郵送やオンラインで済む会社もあります。どこまで対応できるかは会社によって違うため、最初の相談で必ず確認してください。
次の帰省の予定に合わせて、査定の日程を組むところから始めましょう。
媒介契約の3種類と選び方
媒介契約には3つの種類があります。
| 比べる点 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 複数の会社に頼めるか | 頼める | 1社のみ | 1社のみ |
| 自分で買主を見つけた場合 | 直接契約できる | 直接契約できる | 会社を通す |
| 販売状況の報告義務 | 法律上の義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| レインズへの登録義務 | 義務なし | あり | あり(専任より短い期限) |
レインズとは、不動産会社どうしで物件情報を共有する仕組みです。登録されると、他の会社のお客様にも物件が紹介されます。報告の頻度や登録までの日数は宅地建物取引業法とその施行規則で決まっており、契約書にも書かれます。
平地の売れやすい物件なら、一般媒介で複数の会社に競わせる方法もあります。斜面地や島しょ部など買主が限られる物件は、1社に集中して動いてもらえる専任媒介が向いています。
契約前に、契約書の報告頻度と登録期限の欄を確認しましょう。
購入の流れと、呉市で買う前の確認点
買う場合の流れは、資金計画 → 物件探し → 内覧 → 購入申し込み → 住宅ローンの事前審査 → 売買契約 → 決済・引き渡しです。
呉市で買うときは、次の3点を内覧で必ず確かめてください。
- 坂と階段:日常の買い物やごみ出しを、実際に歩いて確認します
- 擁壁(土留めの壁):ひび割れや膨らみがないかを見ます
- ハザードマップ:土砂災害警戒区域に入っていないかを確認します
気になる物件が見つかったら、内覧は晴れの日と雨の日の2回行くと、水はけや坂の歩きやすさがよく分かります。
呉市の不動産会社選びでよくある失敗例と防ぎ方

結論は「査定額・手数料・期間の3つを、契約前に書面でそろえる」ことです。失敗の多くは、口頭の説明だけで契約したところから始まります。
失敗例1:一番高い査定額の会社に決めた
査定額が高い会社に任せたものの、半年たっても問い合わせがなく、値下げを繰り返したケースはよくあります。最初から相場に近い価格で売り出していれば、早く売れた可能性があります。
防ぎ方は、査定額の根拠を3社分並べて比べることです。根拠の説明が一番具体的な会社を選んでください。
失敗例2:撤去費と解体費を後から知った
階段だけの家では、家財の運び出しに人手がかかります。契約後に撤去費や解体費の見積もりを見て、手元に残るお金が想定より大きく減ったという話は珍しくありません。
防ぎ方は、査定と同時に撤去と解体の概算を出してもらうことです。売却額から諸費用を引いた「手取り額」で比べましょう。
失敗例3:相続登記が終わらず契約が延びた
買主が見つかってから相続人どうしの話し合いを始め、契約が延びて買主を逃すケースがあります。
防ぎ方は、査定の前に相続人全員で売却の方針をそろえ、相続登記を先に進めることです。
自分のケースに当てはまる失敗がないか、相談前に一度チェックしてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 呉市の不動産会社は何社くらいに相談すればよいですか?
2〜3社が目安です。1社だけでは査定額や説明が妥当か判断できません。一方で5社以上に頼むと、連絡のやり取りだけで負担が大きくなります。比較表で自分の物件に合うタイプを選び、地元密着型と空き家専門など、違うタイプを組み合わせて相談すると比べやすくなります。
Q2. 遠方に住んでいても、呉市の実家を売れますか?
売れます。家財の確認や引き渡し前の立ち会いなど、現地に行く場面はありますが、査定の説明や契約書類のやり取りは郵送やオンラインで進められる会社もあります。最初の相談で「現地に行く必要があるのはどの場面か」を聞き、帰省の予定に合わせて日程を組むと、移動の回数を減らせます。
Q3. 再建築不可の家でも売れますか?
売れます。ただし、建て替えができないため、一般の買主には売りにくくなります。隣の土地の持ち主に買ってもらう方法や、空き家専門の会社に買い取ってもらう方法があります。役所の建築指導の窓口で前の道の扱いを確認し、その結果を持って相談すると、会社からの提案が具体的になります。
Q4. 安い空き家だと仲介手数料が高くなるのは本当ですか?
国土交通省の告示で、売買価格が800万円以下の物件は、通常の計算を超えて30万円の1.1倍(税込33万円)まで報酬を受け取れる特例が定められています(2024年7月1日施行)。ただし、媒介契約の前に報酬額を説明し、依頼者が合意することが条件です。説明と合意がないまま、特例による上乗せ分を受け取ることは認められていません。媒介契約の前に、特例を使うかどうか、使う場合は金額がいくらかを書面で出してもらってください。
Q5. 島しょ部の物件は扱ってもらえますか?
扱える会社はあります。ただし、現地確認や内覧の案内に時間がかかるため、対応範囲を限っている会社もあります。相談の際に「同じ島や近くの島で取引したことがあるか」「内覧の案内は誰がするか」を確認してください。島の事情に詳しい地元密着型の会社ほど、買主探しの手段を多く持っています。
Q6. 仲介と買い取りはどちらがよいですか?
早さを重視するなら買い取り、価格を重視するなら仲介が向いています。買い取りは不動産会社が直接買うため、早く現金化でき、家財が残っていても対応してもらえることがあります。その代わり、価格は仲介より低くなるのが一般的です。両方の金額を出してもらい、差額と手間を比べて決めてください。
まとめ:呉市の不動産会社は「質問への答え方」で選ぶ
呉市で不動産会社を選ぶときは、会社名のランキングではなく、自分の物件と相談先の相性で判断することが大切です。
- 査定額は売れる値段の約束ではない。根拠の取引事例を必ず確認する
- 仲介手数料には上限があり、800万円以下の物件には特例がある。契約前に書面で確認する
- 斜面地・再建築不可・島しょ部など、自分の物件と同じ条件の実績を聞く
- 相続登記と家財整理を先に進め、手取り額で比べる
まずは記事中の質問集を手元に置き、2〜3社に相談するところから始めてください。
当社(株式会社オオサワ創研)でも、呉市・東広島市の不動産売買のご相談をお受けしています。売却・購入のご相談や、当社で扱っている物件の情報はこちらをご覧ください。
参考文献
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」 — 実際の不動産取引価格・地価公示などを自分で調べられる国のサイト
- 国土交通省「不動産業による空き家対策推進プログラムについて」 — 報酬告示の改正(2024年7月1日施行)、低廉な空家等の特例
- 国土交通省「媒介報酬規制の見直し(解釈・運用の考え方)」資料 — 800万円以下の物件は30万円の1.1倍が上限、事前の説明と合意が必要
- 国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」 — 不動産売買契約書の印紙税と、2027年3月31日までの軽減措置
- 法務省「不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~」 — 相続登記の義務化(2024年4月1日開始)、3年以内の申請、10万円以下の過料
※ 測量費・残置物撤去費・解体費・司法書士報酬・購入時の諸費用率は、公的な統一基準がない業界一般の目安です。物件の条件や依頼先によって変わるため、必ず個別に見積もりを取ってください。







